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人の運動能力を奪う「ロコモティブ・シンドローム」

 メタボと並んで近年注目されている症状に、「ロコモティブ・シンドローム(運動器症候群)」があります。
現在、日本人の実に1000万人以上が、腰痛や手足関節の痛みなどの症状を抱え、後々は要介護や寝たきりになる可能性があると言われています。このような、体の機能がうまく働かないことで歩行障害になった状態や、歩行障害になる危険性が高い状態を「ロコモティブ・シンドローム(以下「ロコモ」)」と呼びます。
 私達の身体は、筋肉、骨、軟骨などが、相互に連携して機能しています。骨の両端をおおっている軟骨は、クッションの役割を果たしており、私達はそのおかげで、大きな衝撃を感じることなく歩くことができています。
 しかし、日頃から運動をしない生活が続くと、これまで膝を支えていた筋肉が衰え、骨や軟骨にかかる負担が大きくなります。そして、こうした状態が長く続くと、軟骨がすり減って痛みが起こります。痛みを感じれば、なおさら運動をしなくなり、より筋肉が衰えて、さらに軟骨への負担が大きくなるという悪循環に陥ってしまいます。こうなると、「ロコモ」となって、歩行障害や寝たきりになる危険性がグッと高まってくるというわけです。

『40歳から始める 一生衰えない筋肉の作り方』
有賀誠司 p28

-タイチーめも-
実際にこの状態の方に指導をしたことがあります。

ちょうど年齢も40代はじめ、膝周りの筋力が衰えている方でした。
膝の軟骨がすり減っていると医師に言われ、運動療法を勧められた結果、太極拳の門を叩いたそうです。

入門時には、たしかに片足を引きずるようにして通ってきてられました。

そこで、中腰の姿勢で太ももを鍛える「站椿」の練習を指導しました。
とにかく站(た)つ! 站つ!! 站つ!!!

そのおかげで、1年も経つ頃には、走りまわるどころか、旋風脚までできるようになりました!\(^o^)/

毎月の病院通いが楽しくてしょうがなかったそうですw
病院に行く度に結果が良くなっているからでした。

40歳から始める一生衰えない筋肉のつくり方

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著者:有賀誠司
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そのまま今を認める、のが良いとは限らない

 人間の体には怠け癖があり、必要最小限の筋肉で動こうとする傾向があります。このため、運動不足や悪い姿勢といった習慣が長年積み重なると、以前はできていた動作が行えなくなったり、間違った動作がしみついてしまったりするのです。。つまり、体が筋肉の正しい動かし方を忘れてしまっているわけですね。低い段差でつまづいたり、肩が上がらなくなったり、子どもの運動会で走って転んだりするのも、その一例。そして、とくに40歳を超えた人に、こうした傾向が顕著に現れてくるというわけです。「動トレ」を通して、正しい筋肉の動かし方を繰り返し鍛えていくことで、、このような肉体の衰えは解消されやすくなります。そして、間違った動きによって筋肉が身代わりになってしまう、「代償動作」が改善されていくでしょう。また、姿勢が正しくなって、それによりさまざまな不調も改善されやすくなります。
 つまり、「動トレ」を行なっていくことで、筋肉が”本来あるべき姿”に立ち返っていくのです。いわば、これまでに間違った動きや働きをしていた筋肉を一度きれいにリセットして、筋の通った動き方を一から叩きこんでいくようなものとイメージしてもらえばいいでしょう。

『40歳から始める 一生衰えない筋肉の作り方』
有賀誠司

-タイチーめも-
陳氏太極拳によらず、中国武術は「力(チカラ)」と「勁(けい)」という表現で、間違った動き・働きによる「チカラ」と、あるべき動きを学習した動き・働きによる「使える力」を区別してきました。

正しい姿勢への要求と、正しい動きへの要求がそれぞれにあり、何度も何度も型を通してそれを学習していきます。

伝統の学習方法と、現代の学習方法が繋がっています。(^ω^)

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慣れは、技ではない

 さらに、このような「長年の身体使いの癖」によって「代償動作(だいしょうどうさ)」という問題が発生するケースがあります。
 聞きなれない言葉だと思いますが、「代償動作」とは、本来使うべき体の部位が弱ってきたときに、別の部位が身代わりとなって役目を果たすことです。
 たとえば、野球の「投げる」という動作は、肩甲骨を使って、肩と腕を連動させるのが、負担の少ない正しい投げ方です。しかし、肩甲骨がスムーズに使えなくなると、腕や肩だけを使って投げたり、本来使うべきでない筋肉の部位を使ったりして、誤った投げ方をしている人がとてもたくさんいらっしゃいます。肩甲骨を動かす代わりに、肩や腕の筋肉が必要以上に酷使されているわけですね。このような状態が長く続くと、プレーで本来のパフォーマンスが発揮できないばかりか、ケガにつながる可能性が高くなります。

『40歳から始める 一生衰えない筋肉の作り方』
有賀誠司

-タイチーめも-
他の筋肉が身代わりになる代償動作

ケガをしたことがきっかけだったり、長年の身体使いの癖によって、本来使うべきでない部位を使用することが「代償動作」です。
考え方によっては、「人間の体って素晴らしい!」と言いたいところですが、本来のパフォーマンスを発揮できないという意味で、この場合はあまり良くないことでしょう。

立つ、座る、歩くが「キチンと」出来れば、武術家として結構なレベルであると言えます。
腕の上げ下げでさえ、本来の使われるべき筋肉を使えていない人のほうが多いです。

武器を「ただ振り回す」のと「切れるように操作する」のはまったく違うことです。

今までの習慣を見なおして、ただの「慣れ」から、訓練された「正しい動き」を練習してみませんか?

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